40.《ちょっと豆知識》気密測定 【大津市/木の家】
今週も現場は進んでいきますよ~
今回の建築日誌は今までとちょっと違った形で【気密測定】についてちょっと豆知識で書いてみようと思います
ぜんぜんちょっとじゃないんですけどね…
この【大萱の家】ももちろん気密測定を行います
(次回の建築日誌で、測定結果を報告しま~す)
今現場は、その気密測定に向けて細かな作業を詰めていっていますよ
ここ数年で住居に対する断熱性能・気密性能というフレーズを耳にするようになりました。
断熱・気密の性能の高い家とは
断熱のことは今までの建築日誌でも書いてきたので、今回は近々行う【気密測定】に因んで、気密について皆さんに少しでも知ってもらえたらな…という思いで書きますね
戸建て住宅を見た時に【木造】住宅が多いと思いますが、断熱・気密するために柱や梁の構造体をガッチガチに覆ってしまうのでは、ただただ木を痛めつけてしまっていることになってしまいます…
木は本来、湿気を吸ったり吐いたりして室内環境を過ごしやすいように調整してくれたりして、呼吸しています
それをできなくしてしまうと、シロアリが発生したり木が腐ってしまったりして、木を痛める原因にしかなりません…
これまで日誌で紹介させていただいた中で、遮熱シートを張ったり透湿シートを張ったり…と、その時々に応じた材料を紹介させていただきました
それぞれの使用箇所で必ず重要視していたのが、《断熱・気密をしてくれた上で、湿気の調整してくれるもの》です。
それだけ木にとって【湿気を透すこと】は大事なことであり、【密閉】は嫌う状態だということになります
= 柱や梁の構造体には透湿性が必要。でも、その構造体の中で暮らす人には気密性が必要 =
きっと、頭の中がになってる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか…
チンプンカンプンですよね
だって、矛盾してますもの…
湿気を透すために、見えない程の小さな小さな穴を通って湿気を透して湿度調整する…
その穴が、気密性能を落としてしまうのでは…って思えてしまいませんか
家本体の構造体には透湿性が求められ、家の中には気密を求められている…
分かるけど、どうやってするの
という声が聞こえてきます
でも、この矛盾していることもしっかりと要所をつかんで施工することで、矛盾していることがそうではなくなるんです
まず、その矛盾を解決するために行う【気密測定】について少し説明を…
【気密測定】とは何なのか…
【気密測定】とは言い換えると【隙間探し】の測定です。
この隙間探しこそが、家の中での気密性を測るものです。
なんとなく隙間探しと聞くと、
『ちゃんと施工できていなかったの』
と不安に思ってしまうかもしれません…。
そうではなく、
《外壁・内壁を仕上げていく前にこの隙間をしっかり見つけ出して、補修し、それから仕上げに入る》
仕上げてから隙間が分かっては、場所によっては大掛かりな補修工事になってしまうかもしれません…
家の中での気密性…ということを例に上げてみると、隙間だらけの家で夏場エアコンなどで部屋を快適にしても、隙間があるとそこから外の暑い熱と高湿度が混じった空気が入り込んできます。冬場は夏の逆で冷気と乾燥した空気が入り込んできてしまう…
それではせっかく快適にしようとしている室内環境がいつまで経っても快適な環境にならず、光熱費も上がる一方…。
隙間風がビュンビュン入るお家では、快適な暮らしどころか不快に感じてしまい、そんな暮らしが毎日続くと心も体も元気に暮らせません…
そうならない為に仕上げる前に測定して、隙間探しをする…
それが、【気密測定】の目的です
ですので、今回行う【気密測定】は柱や梁の構造体に対する気密具合を測定するものではありません。
お家が完成した後、このお家の中で生活されるお客様にとっての気密性を測定するもの
それでは、どんな風にして測定していくのでしょうか…
これは、ウイズダムデザインで以前建てた物件の気密測定の様子です。
この写真で少し、構造体の測定ではなく家の中全体の測定をしている感じが分かっていただけるかな…
すごいでしょこのバズーカのような機械
これが、今回の測定の主役
この機械で、家の中の空気を外に出すんですすごい勢いで…
通常の換気扇の何倍もすごいパワーの換気扇(通称:スーパー換気扇)と、想像してもらえるとわかりやすいかな…
これを動かし、家の中の空気が外に出されるしまった家の中は、気圧が負(マイナス)の状態になってしまいます。
そうすると今度は、どうにか家の中の気圧を正(プラス)にしようと、ちょっとの隙間からでも家の中に空気を取り入れようとします。
このバズーカのような、すごいパワーを持つスーパー換気扇を動かすと、とにかくすごいパワーなので(音は静かですよ)、わかりやすい時では耳を澄ませば隙間から空気が入り込む『スゥ―――――…』という音がして隙間のある場所がわかります。
そしたら、そこを補修する…
でも、実際は釘穴だったり、サッシの隙間だったり、部材の継目だったり…
どうすることもできない隙間があります
なので、『0』にはなりません
なおかつ、『構造体に対する測定ではなく、室内の気密の測定』と言いつつも、測定時は構造体が見えている状態…
上でも少し触れましたが実際ウイズダムデザインが家を建てるにあたって使用する材料は、今までの建築日誌でも今回の日誌でも書いてきたように透湿性が良い材料です。
その中『0』に近づける…
言ってみれば『至難の技』
そこを、できるところまで頑張るんです
そこで実際測定していくにあたって、国が定めた基準となる数値があります。
これは地域によって違うのですが、この【大萱の家】は滋賀県にありますので『5㎠/㎡』となっています。
床面積1㎡に対して5㎠までの隙間ならOKという判断基準。
それでも想像しにくい数値なのですが、例にあげると、吹き抜けの無い2階建て延べ床面積40坪の家ならば、葉書に置き換えると約4.5枚分の面積の隙間までならOKという判断基準とされています。
葉書に例えても、ちょっと分かりにくいのですよね…
畳14枚(14帖)に対して5,000円札約1枚分の隙間までならOKのようです。
(ちょっと頑張って計算してみました想像できましたか)
14帖の部屋というと、LDKがこれくらいお家が多いかもしれませんね
『5㎠/㎡』という基準値があるけれど、もっともっと数値を下げて、家の中での隙間風を感じない、快適な暮らしを送れるようにしていこうという測定です
それが【気密測定】というものになります
この測定後、透湿シートの上から、本格的な室内の仕上げに入っていきます。
仕上げに入っていくということは、表面が少し覆われるということです。
そうすると測定時より、最終的にはもっと気密性が上がるということになります
本当に気密性能の高い家とは、構造体にはしっかり通気をさせてあげ、家の中では空気の流れ(隙間風)を感じることのない家をいいます
以上、気密・気密測定のちょっと豆知識でした
少しだけでも、気密がどんなものなのかわかってもらえたら嬉しいです
さぁこの大萱の家の気密性は、どれくらい数値を下げられるでしょうか
次回の建築日誌をお楽しみに~
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